知っておきたいごみの事

住友重機械工業の設計ミスで完成しなかった京都市のごみ処理施設

2005年、京都市はごみ焼却灰溶融施設の工事の請負契約を住友重機械工業株式会社との間で締結しました。契約金114億円です。ごみ焼却灰溶融施設はごみ処理施設から出るごみの焼却灰を高温で溶かしたあと冷却して固め、容積を圧縮して埋め立てる量を減らすことを目的として計画されました。伏見区の市東部山間埋立処分地を少しでも長く利用するためです。引き渡しは2010年5月末の予定でした。

しかし2010年に施設が完成し試運転を行うと、溶融炉内ではレンガ損傷や灰詰まりが起きました。排水からは基準値を大きく上回るダイオキシン類が検出されるなど問題が続出し、期限を大幅に過ぎても住友重機械工業は市側に施設を引き渡す目途すら立たない状況となりました。
この施設は大規模なものであり、業界関係者の間では同社には小規模な施設の建設経験しかないにもかかわらず工事を受注したことが設計ミスにつながったとの見方が大勢を占めています。


住友重機械工業は13年8月末までに引き渡すとの確約書を市に提出しましたが、6月に30日間の連続試運転に入ると2週間目にトラブルが発生して試運転は中止となりました。

試運転が再開できないまま引き渡し期限を迎えたため市は同社に対して工事発注契約の解除を勧告し、11月には支払済みの工事代金など合計202億円の損害賠償請求をし、同社の負担による施設の解体と撤去を要求しました。

住友重機械工業はこれを不服として却下し、2013年12月に「中央建設工事紛争審査会」に調停を申し入れました。住友重機械工業は京都市と和解し工事を続行しようとしましたが市側には和解の意思がなく、あくまで損害の賠償と施設の撤去を求めて2014年に京都地裁に提訴しました。

2016年に京都地裁が市側の訴えを棄却したため同年大阪高裁に控訴し、2017年11月に市が154憶円の和解勧告を受け入れました。市民からはごみ焼却灰溶融施設に頼るのではなく、市民のごみ減量によって埋め立て地を延命すべきとの声も上がっています。